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まず、人間はなぜ簡単にニオイに慣れてしまうのかを聞いた

まず、人間はなぜ簡単にニオイに慣れてしまうのかを聞いた。

「生物の感覚器は、強い刺激に常にさらされると、だんだんと鈍感になるようになっています。例えば大音量の音ばかり聴いていると、そのうち大きな音に感じられなくなります。これは味覚、触覚、聴覚、嗅覚も同じです。ニオイの場合はこれを『マスキング効果』といい、強いニオイに常に接していると、そのニオイに鈍感になります。体臭が強い人、口臭が強い人が自分ではあまり感じないのはそのためです。ニオイの種類や個人差により異なりますが、一般にアンモニアなどの無機物のニオイは、マスキング効果が出にくく、体臭などに含まれる脂肪酸などの有機物のニオイはマスキング効果が出やすいです」(大泉さん)

強い刺激にさらされ続けると、感覚器が麻痺する機能が人間には備わっていることが、ニオイに慣れる原因だった。極度の辛いもの好きもある意味、味覚が麻痺しているということか。ところで、ニオイの種類によってマスキング効果に差があるのはなぜなのだろうhttp://stone-roses.org/matome/5041
https://tab.do/items/26034165


「現代人は衛生的な無臭環境になれてしまっていますが、自然界にはさまざまなニオイがあります。動物好きだからという理由で牧場に就職したものの、畜舎の強烈なニオイに耐えられず都会に戻って来る若者は多いと聞きます。慣れないと耐え難いですが、マスキング効果が発揮されれば、乗り越えられます。これは一つの自己防衛反応といえます。畜舎のような有機物のニオイは、ほとんど体に害を及ぼすことはありませんが、硫化水素、塩酸、アンモニアのような体に害を及ぼす可能性がある無機物のニオイのマスキング効果が弱いのは、自己防衛のためと考えられます」(大泉さん)

体に害を及ぼす無機物のニオイにはマスキング効果が現れない。これは、人間にも危険察知の本能が残っているということのようだ。

■進化の過程で人間の嗅覚は衰えた

では、犬などに比べ人間は、なぜ嗅覚がそこまで優れていないのだろう?

「人間の嗅覚が弱い原因の一つとして、二足歩行するようになり、鼻が地面から離れてしまったことがあげられます。ニオイ情報はほとんどの場合、地面にあります。人間の数万倍の嗅覚を持つともいわれる犬でも、ニオイを嗅ぐときは鼻頭を地面にすりつけます。進化の過程で鼻の位置が地面から離れてしまい、ニオイ情報が乏しくなったので、機能が退化したと考えられます。もう一つは、直立したことで視野が開けて視覚が発達し、それほど嗅覚を必要としなくなったためです。つまり、二足歩行することで視覚は発達し、嗅覚は衰えたということです」(大泉さんhttps://tab.do/items/26034169
http://www.68newspaper.net/article_detail.php?article_id=5898


人間も進化前は、地面を嗅ぎまわっていたのかもしれない。

■「鼻利き」になるための方法

それでは、衰えた嗅覚を鍛える方法はあるのか聞いてみた。

「基本的に嗅覚を鍛える方法というのはありません。しかし、嗅覚を敏感に保つ方法はあります。香水の調香師は、日常生活でも強いニオイを嗅がないようにし、食べ物も刺激の強いもの、味の強いものは避けているようです。私たちがニオイを感じるのは、ニオイ物質をキャッチする嗅覚器官と、その情報を処理する脳の嗅覚野と脳のデータベースです。嗅覚器官で捉えたニオイが何のニオイか判断するのは、実は脳です。たくさんのニオイに接することで、脳の中のニオイデータベースが充実し、結果として『鼻利き』になることは可能でしょう」(大泉さん)